福島FCを応援しよう


平成5年(1993年)6月20日 OPINION掲載

二瓶 晃一 (執筆当時31歳)

   先日、突然兄から「郡山でJリーグ誘致運 動やってるけど、これどうなっているんだ?」 と言う電話があった。うちの兄からサッカー の話題で電話があるとは驚いた。だいたい私 が弟と一緒にサッカーをテレビで見ていると

 

「いったいこれ(サッカー)の何が面白いん だ?」とか、

「今の若いのは一対一の勝負と言うのが嫌いなんで野球よりサッカーを見る んだ」

 

なんて、まるでJリーグ観戦のギャルを 説教する「野球オヤジ」のノリなのだ。

 

「サッカ ーだって基本的には一対一の勝負なんだよ。 ただ相手が次々に変わって速いからちょっと見た目にはわからないだけなんだ」

なんて言ってみても全然理解できない様子だ。私の友人には、学生の頃から野球を本格的にやっていた者も多いが、かえってそういう友人の方がサッカーをよく理解しているし、また好きでもある様だ。私の兄の様に「テレビの巨人戦」を 見て野球好きになった人にはなかなかサッカ ーは受け入れ難いスポーツのみたいだ。


 5月に開幕してからと言うもの、Jリー グは爆発的な人気でスタジアムも軒並み満員 、当初心配されていたテレビ視聴率もカード によっては巨人戦を抜くという高視聴率だ。

 

 この人気を背景に今あちこちでJリーグ誘致 合戦が繰り広げられている。思えばまだJリ ーグという名称が決まる前の今から2・3年 前に日本協会にわざわざFAXで資料を送っ てもらい、福島県サッカー協会の一般部会でこう提案した事が ある「福島国体が開催されるのにあわせてスタジアムを改修して、プロリーグへの参加とワ ールドカップの開催地に立候補しよう!」だがその時は、出席者全員の目が点になってしまった事を鮮明に覚えている。

 

 経済がからむと日本人はこう も違うのか。私は兄の「サッカーは嫌いだが 経済効果を考えるとな。プロ野球は福島市にとられたし」と言う言葉を聞きながら、今さらな がらに経済大国・日本のすごさを思った。 


 「日本のスポーツを学校体育や企業スポー ツではなく地域に根ざした市民の為のスポー ツに!」大いなる理想を掲げJリーグがスタ ートした。「Jリーグは段階的にチームを増 やし16チームぐらいになったら入替を行な いたい」チェアマンのこの言葉に全国のいた るところで反応があった。

 

 スタジアムやユー スチームの問題はあるが、端的に言ってしまえ ばJリーグに郡山が入るには、トップチーム を誘致するか地元のチームを強くするかしか ない

 

「誘致するのに適当なチームってある のか」と兄が聞くので、ざっとJ1とJ2の チーム(当時、アマチュア最高峰のリーグ・日本フットボールリーグ『JFL』のチームの1部・2部をこう呼んでいた)をみると、どうも可能性があるのは東芝 (現:北海道コンサドーレ札幌)か富士通(現:川崎フロンターレ)くらいだ。「あとは福島FCをJFLまで昇格させるしかないな」と私が言うと 「そんなチームあるのか?」と兄。

 

 マスコミの 影響でみんなJリーグは知っていても福島県 の一番強いチームの事は知らないのが現状だ 。福島フットボール・クラブ。現在東北リー グに在籍し郡山をホームタウンとするこのチ ームはもともと福島の教員チームとして発足したが、幅広い人材を確保する為にFC(フットボール・クラブ)とし て活動している。

 

 元小野高校サッカー部監督の落合先生元小野中サッカー部の顧問の住吉先生もこのクラブで プレーした経歴があり、現在小野高教諭(サッカー部顧問)の小野先生もチームの主力として活躍している。 結構小野町と縁の深いチームだ。

 

 もし東北リ ーグで優勝すれば、北海道から九州までの各地域の優勝チームが集まる「地域リーグ決勝大 会」に参加する。ここで2位以内に入るとJ2 の下位2チームと自動入替。J2で2位以内 に入るとJ1へ自動昇格。Jリーグ準会員の登録をしてJ1で2位以内に入れば現状では Jリーグ昇格となる。東北リーグはちゃんと ホーム&アウエーで試合をしている。福島の 新聞やテレビはもっと取り上げてもいいと思 う。 


 「仙台のような政令指定都市と対抗する のには、郡山の盛り上がりだけではダメだ。 やっぱりサッカーの盛んないわき市と郡山市 が手を結び、あぶくま地域と合わせて70万人のホームタウンを背景に、あぶくま新高原都市の最初のシンボルとして日本初のドーム サッカー専用競技場を造ってJリーグへ参加 しよう!」最後にこんな少し我田引水の意見を 提案しておきたい。